ななこのブログ

服を着て映画を見てごはんを食べてときどき旅に出るなどを綴ります

オデッセイ(主には私の僕のおれのマット・デイモンについて)

映画『オデッセイ 』予告編

 

オデッセイ(原題: The Martian)2015年・アメリカ映画(日本公開・2016年2月5日)

(109シネマズ川崎・IMAX3D字幕・2016年2月9日鑑賞)

 

オデッセイを見てきました。なぜこの邦題なのだろう。原作は図書館でかりたんですが時間がないときにかりてしまい、冒頭しか読めず返却してしまいました。とっても明るいなぁという印象にくわえ、この映画がゴールデングローブ賞でミュージカル・コメディ部門にノミネートされていたので、おーこれはすっげーコメディなのかな!?とわくわくして見に行きました。結論からいえばそんな笑わなかったけど、アメリカ人的にはコメディなのかな。笑いのセンスっていちばん異文化みを感じる。

さて、オデッセイのあらすじですが、Twitterで#火星ひとりぼっちという非常にわかりやすいハッシュタグを公式アカウントがつくっていました。一言であらわすとまさにそれです。NASAのメンバーが火星探査に繰り出していたところ、事態が急変し急遽離脱せねばならなくなり、みんなでよいしょよいしょと火星を旅立とうとするんだけれどもマット・デイモン扮するマーク・ワトニーはその途中で事故にあい、彼は死んだものと思っておしみながらメンバーは旅立ちます。でもワトニーは実は生き延びていたのだった!火星ひとりぼっちになったのでした。

監督はリドリー・スコットです。このひとのSF映画といえば「エイリアン」(未見です)がパッと思いつくけれどもほかは何かあるのかしら。あとで調べてみる。リドリー・スコットは最近では「悪の法則」がだいすきです。「エクソダス」はもうよく憶えていない。そのへんはまた気力あれば別記事で書きます。

 

!以下ネタバレあり!

 

タイトルにマット・デイモンについてと書いたとおりマット・デイモンについて語りたいです。SF考証とかはもとよりできないしやる気もないし、映画としてのおもしろさうんぬんも言いたいことたくさんあるけれど見終わった後まず「これはマット・デイモンのキャリアの集大成だな…」と感慨深くなりおばちゃん涙が出そうとなったので、とにかくマット・デイモンについて語らなければ!!という謎の使命感みたいなものに駆られました。これは140字じゃたりねぇブログだ!!という気持ちにもなりました。ということでマット・デイモンです。

私が映画を見始めたきっかけって人生でそれぞれ3つぐらいあって、ざっくり言うとロビン・ウィリアムズロードオブザリングオーシャンズ11です。ロビン・ウィリアムズについては、「ジュマンジ」と「ミセス・ダウト」がちっちゃいころからだいすきで、とにかくこのひとを見ているだけでほっこりしたあたたかい気持ちになるなぁと思い、彼の主演作をレンタルしたものです。小学生とか中学生のときかな。見た映画については正直もうほとんど憶えていないですが、とにかくロビン・ウィリアムズというおじさんがだいすき!という気持ちだけは鮮明で、訃報には泣きました。次の指輪物語原作「ロード・オブ・ザ・リング」は私が中学生のころに公開していて、とにかく中つ国というあの世界にすごく夢中になりました。1年間続編待つのつらすぎたし、ほしい雑誌やDVDがたくさんあったし、しかし中学生の身分では旅の仲間のサントラを買うことがせいいっぱいだったという思い出。好きな俳優はおりましたが、それよりも中つ国をあいしてしまいました。っていうかアラゴルンに恋したはいいものの「ヒストリー・オブ・バイオレンス」とか怖すぎて当時見れなかったよ。ヴィゴ・モーテンセンについてはまた別記事で書くとして、まぁとにかくこの作品は「今なお語り継がれている名作映画のように、このシリーズは今後も伝説として残っていくだろう、映画の歴史に語り継がれていくものをリアルタイムで見られた」という誇りみたいなものを感じました。

前振りが長くなった。そして最後に「オーシャンズ11」です。この映画、レンタルで見た(偶然にもそのとき「ボーン・アイデンティティーといっしょにレンタルしていた)のですが、初見ではそんなにハマらず、続編の「オーシャンズ12」はじまるころに見直してめっちゃハマりました。そこからこの映画に出ている俳優の過去作品を見るということをはじめました。さらにそこで好きだと思った映画の監督の別作品を見るということもはじめました。これで芋づる式というのか、ずぶずぶ映画という沼にハマっていったんですね。いまでは息をするように俳優つながりや監督つながりで見たい映画をピックアップして見ていますが、こういう見方をするきっかけになったのが「オーシャンズ11」で、これがなければ多数の映画作品を見ることはなかったと思うので、思い出深いです。それから映画を見るようになりました。ぜんぜん見ない時期とかもありましたけれど、特に仕事が安定した3年前ぐらいからはコンスタントに見るようになりました。マット・デイモンは私にはかわいいかわいいライナス・コールドウェルだったんですよねぇ。オーシャンズシリーズにおけるマットの役なんですが。ライナスがいちばん好きで、マットの映画をたくさん見ました。ぜんぶとはいえないけれどほぼ見た。その結果として、彼にはおおきく分けて2つのテイストがある、といえると思います。ひとつは売り出したきっかけとなった「グッド・ウィル・ハンティング」で演じたウィルのような、賢くも傷つきやすい繊細な青年。もうひとつは代表作であるボーンシリーズで演じたジェイソン・ボーンのような、サバイバル能力に満ちた地味ながら優秀な孤高の戦士。

ここでやっとオデッセイの話に戻りますが、今回彼が演じたマーク・ワトニーはまさにそのふたつが合わさった役柄だったと思ったのです。賢く、優秀で、けれど孤独で、それでも戦い続けるひと。あのポジティブさと愉快さはマットの素な気がする。だから本当にマット・デイモンにしかできなかった役だと感じたし、彼の俳優としてのキャリアの頂点なのではないかと思いました。彼は「グッド・ウィル・ハンティング」の後はあんまり振るわなかったんですよね。主演作がけっこう立て続けにコケて、あーこれやばいぞーっていうところでボーンシリーズが売れ、みごと復活したというインタビューを大昔に読みました。しかしそういうところも乗り越えて、オーシャンズシリーズのライナスみたいにぺーぺーのワカゾーみがあった彼がすっかりおとなになってアカデミー賞主演ノミネートですって!?おばちゃんシャンパン開けちゃう!ってなります。私の僕のおれのマット・デイモン!うそです。みんなのマット・デイモンです。前から好きだったんだからね!といううざいファンみたいなこと言わないけれども、感慨深さは本当にすごくありました。ぶじに生還し、講師となっている姿がまたすっっっごくマットにぴったりでもはやびびる。はーもーほんと好き。

他キャストももちろんもちろん素晴らしかったです。クルーも地球のNASAのメンバーも。個人的にはジェフ・ダニエルズがとてもよかった。途中までしか見られてないんですがWOWOWで放送していた「ニュースルーム」というアメリカドラマの主演を見てすっげぇ!!となったのです。常に冷静にまんべんなく全体像を見据える長官、ぴったりですね。キウェテル・イジョフォーは「それでも夜は明ける」が直近の記憶だったので、健康そうでげんきに仕事してるだけで安心しました。よかったよかった。ショーン・ビーンがすっごくかっこよかったしエルロンド会議のくだりはくそわらったサービス精神旺盛だなぁ。

映画そのものについては、まず3Dで見る意味はあまりなかった気がする。めっちゃ自然な3Dだったので疲れはしなかったけれど。そしてちょっと予告が盛りすぎなのでは?と思いました。ジャンルとしては地味めな人間ドラマであり、プロたちの仕事を見守り主人公の底知れない前向きさに笑ったり尊敬したりする話。まぁ火星だし、宇宙だし、NASAなんですが、壮大なストーリーに感動!的な予告はちょっとあわない気がしたよ。とてもよかったし好きですが。リドリー・スコットらしいなぁと思うだるさもあいしてるよ。

母と見に行ったんですが、「暗くしようと思えばどこまでも暗くできるのにそうではなかった」って話してて、そこが何よりすばらしいよなぁと思いました。ひとりのために大勢を危険にさらすのか、という疑問はいちおう浮上していたもののわりとすぐに解消されていたし。その根本は「情報を公開する」「関係者に情報を伝える」というだいじなことを徹底しているがゆえだなと感じ、そのあたりはアメリカらしいなぁと思ったし。そのあたりの問題に付随しがちなきもちわるさや停滞がなくて、孤独なサバイバル劇でありながらきもちよく見られるつくりがとてもよかったです。

 

オデッセイと直接関係ない話が長くなってしまいましたが以上です。読んでくださりありがとうございました!

マット・デイモンについては、今年ついに!ボーンシリーズ最新作がやるのでみんなよろしくね!